遮熱塗料!?

〜ごく一部の住宅にしか向いていません〜



タイトルを『遮熱塗料!?』としました。

近年至る所でこのワードを見かけるようになりましたが、
この 遮熱塗料は『提案してもよい案件』と『提案してはいけない案件』がある 事に注意して下さい。
察しの良いオーナー様ならお気づきだと思いますが、住宅塗装,外壁塗装(塗り替え)の裏側から見ると、

【この遮熱塗料は、住宅塗装には不向き】

である事が多いためです。
何故か・・・その理由は幾らかありますが以下の通りです。

□遮熱塗料をお勧めしない事由:
  1. 塗料性能の規定が大手塗料メーカーによる規格(JIS等)であり、ユーザー側の求める性能を示すものになっていない
  2. 結果として条件が伴わなければ施工価格が上がるだけで 期待通りの機能とはならない事が多い
  3. 遮熱塗装をするよりも開口部を 二重サッシや複層ガラスにしたり、遮熱フィルムを貼る方が実用的 で直接的な効果もあり、総じて 遮熱塗装の方が費用対効果が低い ため、勧められない
  4. 遮熱塗装による恩恵が最も高いのは、鶏舎や牛舎等の対称面下の通気性がよい場所に限られる
    (住宅屋根に施すには、屋根裏の強制換気システムを組む事が効率を図るうえでは必須)
  5. 実験の結果、夜間は遮熱塗装をした屋根裏では遮熱塗装をしていない屋根裏よりも暑くなりました。これは日中に籠もった熱気が、日没後には家屋内に反射するように逃がさないという原理が考えられます。
    要するに、「夜は遮熱塗料を塗った方がに熱帯夜になりやすくなる」という事です
    (カタログ等でこのことに触れられていないのは、都合が悪いから だと考えられます)
  6. 汚れたら反射性能が下がるため、定期的(2〜3年ごと程度)な洗浄が必要らしい
    (以前はカタログにとても小さく書いてありました / 都合が悪いから削除したのでしょうか)
  7. 工場等の屋根であれば、一般的な白色塗装 した方が遮熱効果が高い
  8. 以上のような事を堂々と明記していない
    (むしろ表面的な性能のみを全面に出し、触れようとしていない)
  9. 「新製品で」「新機能で」 などと簡単に単価を上げた営業ができるのは魅力だが、施主様の立場で考えるととてもお勧めできない

性能を理解して検証を繰り返した結果の裏側を書くとこのようになりますが、遮熱塗装とはまるで意味の無いただ高いだけの塗料なのかというとそうでもありません。しかるべき部位に塗装すればそれは大変意味のある機能性塗料なのです。
以下はお勧めしたい案件となります。



□遮熱塗料をお勧めしたい案件
  1. コンクリート構造 の住宅(断熱効果が低いから)
  2. プールサイドや公園の遊具、鉄部手摺 など、夏季に素足や素肌が直接対象物に触れる場所
  3. サイクリングロードや遊歩道 などの路面塗装
  4. 牛舎や鶏舎 等、畜産関係の屋根(風が抜ける事が条件)
  5. 商業施設の共用通路床やアーケード屋根 (風が抜ける事が重要)等

要するに 大規模な商業用途や土木用途特化 した機能であり、民間の施設や家屋には必ずしも 適しているわけではないといえます。またそのように “熱対策” を主目的とした案件の場合、弊社では遮熱塗料ではなくアルバー工業社の熱交換塗料をお勧めいたします。

今でこそロケットの先端に採用されたという “断熱塗料” なるものが “魔法の塗料” を謳って幅広く展開していますが、アルバー工業社の熱交換塗料が “魔法の塗料”としてはパイオニアとなります。

熱エネルギーと運動エネルギーとを塗膜内で交換する事で、塗装塗膜を 25℃に保つよう設計された塗料です。こちらの塗料 “こそ” まさに “魔法” !!。アルバー工業社は 宣伝しないので大衆認知度は高くないですが、これは本物 です。



遮熱塗料の有効性には諸説ありますが、この機能を全面に出して押し売りするような業者には注意です。今どき、遮熱性は “おまけ” のような機能であり、触媒と同じく塗り替え塗料の定番にはなっていない というのがその事実です。
熱対策でお困りなら、遮熱塗装ではなくまず第一に 【複層ガラス】 や 【二重サッシ】 または 【遮熱フィルム】 といった開口部の改修をお勧めしてくれるような業者をあたりましょう
(塗装屋がいう事では無いのですが、オーナー様の事を考えればこれを書かずにはいられません)

また、よく見る施工画像で『工場(倉庫)の屋根を遮熱塗装しました』等という記事を見かけますが、
たいてい白で塗ってあります。
白を塗るなら遮熱性能(熱反射率)は最大なので、わざわざ遮熱塗料を塗る必要があったのかと疑問に思います。


スグにでもこういった『遮熱塗装を検討したい』という事でしたら、無駄な費用を捻出する前に窓の前に葦簀(よしず)のような日よけやテントを貼ってみて下さい。劇的に変わるという程でもありませんが、遮熱塗装 以上安価手軽確実な効果 が得られる事でしょう。
寒い冬期には、太陽の熱源を取り入れるべくたためますしね。